「そろそろ広い家に住みたいけれど、いきなり家を買うのはハードルが高い」「子供が走り回る音を気にしたくない」……そんな悩みをお持ちの方が賃貸物件を探し始めると、必ずと言っていいほど出会うキーワードがあります。それが「メゾネット」「テラスハウス」、そして「戸建賃貸」です。
これらはすべて、一般的なマンションのような「全部屋が平ら(フラット)」な作りではなく、階段があったり、独立性が高かったりと「戸建感覚」を味わえる住まいとして人気があります。しかし、それぞれの違いを明確に答えられる方は不動産業界の方以外では少ないのではないでしょうか?
「見た目は似ているけれど、住んでみたら全然違った!」という後悔を防ぐために、初心者の方にもわかりやすく3つの違いを徹底的に深掘りします。構造の違いだけでなく、光熱費やゴミ出しといったリアルな生活の視点からも比較していきますので、ぜひお部屋探しの参考にしてください。
1. まずは基本!3つのタイプの決定的な違い
まずは、それぞれの建物の形(構造)をイメージすることから始めましょう。専門用語を使わずに、簡単な言葉で定義します。
メゾネット:マンションの中に階段がある家
「メゾネット」を一言で言うなら、「マンションの1室が2階建てになっている部屋」です。
外から見ると普通の大きなマンションですが、玄関を開けて中に入ると、部屋の中に階段があります。例えば「3階がリビングで、4階が寝室」のように、家の中で上下移動ができるのが特徴です。あくまで「集合住宅」の一部なので、あなたの家の「上」にも「下」にも、そして「隣」にも別の人が住んでいます。
なお、不動産市場の現状として、メゾネット物件は略市場に出ないほど数が少なく、希少です。主に都心の高級マンションやデザイナーズ物件に見られる形式で、探してもなかなか見つからない「レア物件」と言えます。
ポイント:エントランスやゴミ置き場はマンションの設備を使えるため便利ですが、上下左右に人が住んでいるという点では、通常のマンションと同じ配慮が必要です。
テラスハウス:お隣と壁がくっついている家
「テラスハウス」は、「2階建ての家が、横にずらっと連結している長屋(ながや)」です。
メゾネットとの最大の違いは、「自分の家の上にも下にも、他人は住んでいない」ということです。1階から2階(場合によっては3階)まで全てあなたの家です。ただし、建物の「横の壁」はお隣さんと共有しています。壁一枚向こうはお隣さんのリビング、という状態です。各住戸に専用の玄関があり、小さいながらも専用の庭がついていることが多いのが特徴です。
一般的に「テラスハウス」というと、木造で2つの住戸がセットになった、いわゆる「2戸1(ニコイチ)」と呼ばれる建物をイメージされることが多いでしょう。市場における物件数はメゾネットよりも多く、比較的探しやすいのが特徴です。
ポイント:上からの足音に悩まされることはありませんが、お隣との壁の防音性が非常に重要になります。
戸建賃貸:完全に独立した一軒家
「戸建て」は説明不要かもしれませんが、「隣の家と離れて建っている独立した家」です。
持ち家の一軒家と同じ状態を、賃貸で借りる形式です。上下左右どこにも他の住戸と接していません。敷地内に駐車場があり、玄関を出たらすぐに自分の車に乗れるのも大きな特徴です。最近では、広い敷地を分割して、同じデザインの戸建て賃貸を数棟建てているケースも増えており、綺麗で統一感のある街並みを形成している物件も人気です。
ポイント:プライバシーと独立性は最強です。ただし、庭の手入れや家の周りの掃除は自分で行う必要があります。
2. 【比較表あり】住み心地とメリット・デメリット
構造の違いがわかったところで、実際の生活における「快適さ」や「注意点」を比較してみましょう。以下の表にまとめました。
比較項目 |
メゾネット |
テラスハウス |
戸建て賃貸 |
上下の音 |
他人の音が聞こえる可能性あり |
なし(自宅内のみ) |
なし(自宅内のみ) |
隣の音 |
壁越しに聞こえる可能性あり |
壁越しに聞こえる可能性あり |
ほぼ気にならない |
日当たり・風 |
角部屋以外は2方向 |
2方向(両端は3方向) |
4方向から取れる |
ゴミ出し |
敷地内集積所(楽な場合が多い) |
敷地内 or 地域集積所 |
地域の集積所(当番制も) |
駐車場 |
少し離れた敷地内 |
玄関前 or 敷地内 |
玄関目の前が多い |
家賃相場 |
やや高め(デザイン性高い) |
割安な場合が多い |
物件によるが広さなりに高い |
騒音トラブルのリスク比較
集合住宅で最も多い悩みが「音」です。ここを深く掘り下げます。
足音(重量床衝撃音)について
子供がドタドタ走るような重い音は、建物を通して響きます。「メゾネット」はマンション構造なので、上の階の人が飛び跳ねれば響きます。一方、「テラスハウス」と「戸建て」は、上に他人がいないのでこのストレスはゼロです。これは子育て世帯にとって絶大なメリットです。
話し声・テレビ音(空気伝播音)について
「テラスハウス」の弱点はここです。お隣と壁一枚でつながっているため、木造や軽量鉄骨造のテラスハウスの場合、夜静かになるとお隣の話し声や階段を登る音が聞こえることがあります。逆に言えば、こちらの音も聞こえているということです。「戸建て」であれば、窓さえ閉めていれば、物理的に離れているので音漏れのリスクは激減します。
寒さ・暑さと光熱費のリアル
意外と盲点なのが、空調効率(光熱費)です。
メゾネットや戸建てのように家の中に階段がある物件は、「コールドドラフト現象」に注意が必要です。暖かい空気は上に、冷たい空気は下にいく性質があるため、冬場は1階のリビングで暖房をつけても、暖気が階段を通って2階へ逃げてしまい、なかなか部屋が温まらないことがあります。
これを防ぐためには、階段の入り口にロールスクリーンやカーテンを設置するなどの工夫が必要です。また、角部屋や独立した戸建ては、外気に触れる壁の面積が広いため、中部屋のマンションに比べると夏は暑く、冬は寒くなりやすい傾向があります。断熱性能が高い比較的新しい物件を選ぶか、光熱費が多少上がることを予算に入れておく必要があります。
ネット環境とゴミ出しルールの違い
現代生活に欠かせないインターネット。マンションやメゾネットの場合、「マンションタイプ」の回線契約となり、料金は安いですが、夜間に他の住人が一斉に使うと速度が遅くなることがあります。一方、戸建て賃貸や一部のテラスハウスでは、「戸建てタイプ」の回線を個別に引き込むことが多く、料金は多少上がりますが、速度が安定しやすいという隠れたメリットがあります。
また、ゴミ出しについては、メゾネットのようなマンションタイプは敷地内に専用のゴミ置き場(ストッカー)があり、24時間出せる場合もあります。しかし、戸建て賃貸の場合は、地域のゴミ集積所を利用することがほとんどで、町内会(自治会)への加入や、掃除当番が回ってくることもあります。これは「面倒」とも取れますが、地域コミュニティに参加できるという点では安心材料にもなります。
3. 失敗しないための「内見チェックリスト」
いざ物件を見に行く際、雰囲気だけで決めてしまうのは危険です。プロが必ず見るポイントをお教えします。
階段の幅と「大型家具」の搬入
戸建てやメゾネットで最も多いトラブルが「引越し当日に、冷蔵庫や洗濯機が2階に入らない!」という事態です。
特に「コの字型」に折れ曲がっている階段や、おしゃれな螺旋階段は要注意です。手すりの出っ張り分も含めて有効幅を測る必要があります。もし階段を通らない場合、クレーンを使って窓から吊り上げることになり、数万円の追加費用がかかります。内見時には必ずメジャーを持参し、階段の幅と天井の高さを計測しましょう。
隣との壁の「厚み」と「コンセント位置」
テラスハウスを検討する場合、お隣と接している壁(戸境壁)をチェックします。
可能であれば、不動産屋さんに「この壁の構造はどうなっていますか?断熱材や遮音材は入っていますか?」と聞いてみてください。また、間取り図を見て、お隣の階段とお風呂が、自分の寝室と接していないかを確認するのもテクニックの一つです。水回りの音や階段の音は響きやすいため、収納スペース(クローゼット)が壁側に配置されている間取りだと、収納が防音壁の役割を果たしてくれるのでおすすめです。
4. まとめ:あなたに向いているのはどのタイプ?
最後に、それぞれのタイプがどのような人に向いているかをまとめます。
メゾネットがおすすめな人:
デザイン性を重視するカップルやDINKs層。マンションのセキュリティやゴミ出しの利便性は捨てがたいが、空間にメリハリが欲しい方。
テラスハウスがおすすめな人:
家賃を抑えつつ、上下階の音を気にしたくない方。ご近所付き合いがある程度でき、お隣への配慮ができる方。
戸建賃貸がおすすめな人:
小さなお子様がいるファミリー、ペットを飼いたい方、楽器を演奏したい方。将来マイホーム購入を検討しており、一軒家の暮らしを体験してみたい方。
「戸建感覚」と言っても、これだけの中身の違いがあります。ご自身のライフスタイルや家族構成、そして「何を一番優先したいか(音?広さ?家賃?)」を照らし合わせながら、最適な住まいを選んでください。
「自分たち家族には、やっぱり独立した戸建賃貸が良さそう!」
「でも、管理がしっかりしている綺麗な物件はどうやって探せばいいの?」
そんな疑問をお持ちの方は、ぜひ一度ご相談ください。
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