厳しいルールが守る「風致地区」の環境とは? | 東京都内の賃貸一戸建て・一軒家・貸家ならカリコダテ|イデアルコンサルティング

03-5778-2611

営業時間:9:00~18:00
定休日:土・日・祝

TOPページ
不動産コラム一覧
厳しいルールが守る「風致地区」の環境とは?

  • 厳しいルールが守る「風致地区」の環境とは?

    住まい探しをしていると、物件資料の備考欄に「風致地区」という言葉を見かけたことはありませんか?「何か特別なルールがある場所なのだろうか」「生活する上で不便はないのだろうか」と疑問に思う方も多いかもしれません。

    実は、この風致地区こそが、都心や市街地において緑豊かな環境が約束された、非常に希少価値の高いエリアであることをご存知でしょうか。美しい街並みが保たれている背景には、都市計画法に基づいた厳格なルールが存在します。

    今回は、風致地区の仕組みやメリット、そして暮らす前に知っておくべき厳しい建築制限について詳しく深掘りします。特に、「なぜ風致地区の賃貸物件は少ないのか?」という疑問への答えや、風致地区の「中」ではなく「付近」に住むという裏ワザ的な選択肢についても解説します。

    1. そもそも「風致地区」とはどのような場所か

    風致地区とは、都市計画法に基づいて定められた地区の一つで、簡単に言えば「都市における自然の景観(風致)を維持し、保全するために指定されたエリア」のことです。大正時代から続く歴史ある制度で、公園や庭園、寺社仏閣の周辺、あるいは豊かな樹木が残る住宅街などが指定されています。

    皆さんが「この街は緑が多くて落ち着くな」「家と家の間隔が広くてゆとりがあるな」と感じる場所は、高い確率でこの風致地区に指定されています。開発が進む都市部において、無秩序な開発を防ぎ、緑豊かな環境を次世代に残すための防波堤のような役割を果たしていると言えるでしょう。

    具体的には、東京都内であれば世田谷区の国分寺崖線沿いや、杉並区の善福寺周辺、田園調布などが有名です。これらのエリアが長年にわたりブランド価値を保ち続けているのは、風致地区というルールによって環境が守られているからに他なりません。

    2. 想像以上に厳しい?建築制限のルール

    美しい景観を守るためには、そこに建つ建物に対して非常に厳しい制限が必要になります。これが建築制限です。一般的な住宅地と同じ感覚で家を建てたりリフォームしたりすることはできず、これが物件の選択肢を狭める要因にもなっています。ここでは具体的な制限と、それが住まい探しにどう影響するかを見ていきましょう。

    建ぺい率の制限と外壁の後退

    まず大きな特徴として、「建ぺい率」が極端に低く設定されていることが挙げられます。建ぺい率とは、敷地面積に対する建築面積(建物を真上から見た時の広さ)の割合です。一般的な住宅地では60%程度ですが、風致地区では40%、場所によっては30%以下に制限されます。
    つまり、100坪の土地があっても、建物を建てて良いのは30坪〜40坪だけ。残りの大半は庭や空地として残さなければなりません。

    さらに「外壁の後退」というルールもあります。これは、敷地の境界線から建物の外壁まで一定の距離(例:道路側から2メートル、隣地から1メートルなど)を空けなければならないという決まりです。お隣さんと手が届くような距離に家が建つことはなく、必然的にゆとりある空間が生まれます。

    高さ制限と色彩の調和

    建物の高さについても、一般的に10メートルまたは15メートル以下に制限されます。高層マンションなどが乱立して景観を損なうことを防ぐためです。これにより、空が広く感じられる開放的な街並みが維持されます。

    また、建物の色使い(色彩)についても細かい規定がある自治体が少なくありません。派手な蛍光色や周囲の自然と調和しない奇抜なデザインは認められず、アースカラーなど落ち着いた色調が求められます。リフォームで外壁を塗り替える際にも許可が必要になるケースがあるほど、景観保全は徹底されています。

    賃貸アパートがほとんど建たない理由

    ここが物件探しにおける重要なポイントです。風致地区内では、アパートやマンションなどの「収益用の賃貸物件」が新しく建築されることは非常に稀です。なぜなら、先述した「建ぺい率」や「高さ制限」が厳しすぎるため、部屋数を多く確保できず、賃貸経営として採算が合わないケースがほとんどだからです。

    一部の地域では、そもそも共同住宅の建築自体が原則禁止されている場合もあります。そのため、風致地区内で賃貸物件を探そうとすると、選択肢はアパートではなく、元々オーナー様が住んでいたような「分譲仕様の戸建て賃貸」に限られてくることが一般的です。これが「風致地区の賃貸は数が少ない」と言われる最大の理由です。

    3. 風致地区に住むメリットとデメリット

    厳しいルールがあることは分かりましたが、実際に住む人にとってはどのような影響があるのでしょうか。メリットとデメリットの両面から整理してみましょう。

    【メリット:資産価値と住環境の質】
    最大のメリットは、圧倒的に良好な住環境です。隣家との距離が保たれているため、プライバシーが確保しやすく、日当たりや風通しも良好です。また、周囲に高い建物が建つリスクが低いため、将来的にもその環境が大きく変わる心配が少ない点も魅力です。

    【デメリット:コストと選択肢の少なさ】
    一方で、デメリットはコストと手間の問題です。広い敷地が必要になるため、土地の購入価格や家賃、固定資産税が高額になる傾向にあります。また、広い庭や多くの植栽を維持するためには、定期的な剪定や草むしりなどのメンテナンスが欠かせません。
    さらに、前述の通り建築制限が厳しいため、物件自体の数が少なく、希望の条件に合う家を見つけるまでに時間がかかることや、購入後に「増築したい」「リノベーションしたい」と思っても許可が下りない可能性がある点には注意が必要です。

    4. 付近に住むという賢い戦略

    「風致地区の緑や環境には憧れるけれど、物件が少なすぎるし、家賃も高そう…」
    そんな方にぜひおすすめしたいのが、風致地区の「中」ではなく、あえて「風致地区の付近(隣接エリア)」に住むという戦略です。

    風致地区の境界線から一本道路を隔てただけの場所であれば、窓からの景色や散歩コースとして風致地区の緑豊かな環境を十分に享受できます。これを借景(しゃっけい)と言いますが、自分は厳しい建築制限を受けないエリアに住みながら、目の前の美しい景観だけを借りて楽しむことができるのです。

    具体的なメリットは以下の通りです。

    ●物件の選択肢が広がる
    風致地区の外であれば、一般的な建築ルールのエリアになるため、比較的新しいアパートやマンション、機能的な戸建てなど、多様な物件から選ぶことができます。

    ●家賃やコストを抑えられる
    ブランドエリアである風致地区内(一等地)に比べると、隣接エリアは家賃相場が落ち着く傾向にあります。

    ●生活利便性が高い
    風致地区内はコンビニやスーパーの建築も制限されることがありますが、隣接エリアであれば商業施設も近く、買い物などの利便性が高いケースが多いです。

    もちろん、「どうしてもこの歴史ある土地の中に住みたい」というこだわりがある場合は風致地区内の賃貸を探すべきですが、「環境の良さ」を最優先にするのであれば、「風致地区の隣」は非常にコストパフォーマンスの高い賢い選択肢と言えるでしょう。

    5. まとめ:ルールと魅力を理解し緑ある暮らしを見つけよう

    風致地区は、都市計画法によって守られた圧倒的な緑と静寂が魅力のエリアです。
    その美しい景観を維持するために、建ぺい率や高さ制限といった厳しいルールが設けられており、それが賃貸物件の少なさにも繋がっています。

    もし風致地区への居住を検討するなら、「制限を受け入れてでも地区内に住む」か、「制限の緩い隣接エリアに住んで環境だけを享受する」か、ご自身の優先順位に合わせて選ぶことが重要です。
    どちらの選択であっても、事前に専門家のアドバイスを受けることで、後悔のない住まい探しが可能になります。


     

    風致地区のような特別な住環境を持つエリアでの戸建てライフは、物件探しやエリア選定で専門的な知識が求められます。

    首都圏で1,300以上の税理士・公認会計士事務所、750社以上の他士業・一般企業と提携する「株式会社イデアルコンサルティング」が運営する戸建て賃貸専門サイト「カリコダテ」では、環境の良い周辺エリアの物件まで幅広くご紹介しております。
    こだわりの住環境をお探しの方も、大切な資産の活用をお考えの方も、ぜひ一度「カリコダテ」にご相談ください。

     


戸建て賃貸情報

不動産コラム

イデアルコンサルティング
( IDEAL Consulting Co.,Ltd )
〒150-0002
東京都渋谷区渋谷2-11-8
大菅ビルディング8階
TEL:03-5778-2611
FAX:03-5778-2614

詳しく見る