日々の喧騒を忘れさせてくれるような、心から安らげる住まい。忙しい毎日を送る中で、ふとそうした空間を恋しく思う方が増えています。リモートワークの普及なども手伝い、私たちは住まいに対して、単なる「機能」や「利便性」だけでなく、「心の充足」や「リラックスできる環境」を強く求めるようになりました。
そうした中、改めておすすめしたいのが「和の空間」です。しかし一口に「和室」と言っても、その内容は多様化しています。縁側があり、い草の香る「伝統的な日本家屋(古民家風)」の癒しを求める声がある一方で、手入れが簡単でデザイン性の高い「現代風の和室」を好む声もあります。
どちらの「和の空間」を選ぶか。この記事では、それぞれの魅力と注意点を解説します。
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「和室」の真価は畳にあり!伝統的な畳 vs 現代的な畳
「和室」の心地よさの中心は、間違いなく「畳」です。しかし、最近は「畳」と呼ばれるものにも種類があり、その機能性は大きく異なります。物件を選ぶ前に、この違いを理解しておくことが非常に重要です。
「伝統的な畳」の魅力(調湿機能と香り)
まず、畳屋さんが作る昔ながらの「伝統的な畳」です。これは表面の「畳表(たたみおもて)」に天然の「い草」を使い、芯材である「畳床(たたみどこ)」に「わら」を重ねたもの(わら床)が主流です。
このタイプの最大の魅力は、い草とわらが持つ「天然の調湿機能」です。い草の断面はスポンジのようになっており、湿気が多い梅雨時は空気中の水分を吸い込み、乾燥しがちな冬場は水分を放出します。まさに「天然のエアコン」とも言える機能で、日本の気候に最適です。また、い草特有の香りには高いリラックス効果があり、この香りを求めて和室を選ぶ方も多いでしょう。弾力性も適度で、直接座ったり寝転んだりするのに最適です。
「現代的な畳」の魅力(利便性とデザイン)
一方、近年の賃貸物件や新築戸建てで増えているのが「現代的な畳(工業製品)」です。これらは、畳表にい草ではなく樹脂(ポリプロピレンなど)や和紙を使ったり、畳床にわらではなくウレタンフォームや木質ボード(インシュレーションボード)を使ったりしています。
こちらのメリットは、まず「手入れのしやすさ」です。樹脂製などは水をこぼしてもサッと拭き取れ、ダニやカビが発生しにくいのが特徴です。また、い草のように日焼けで変色することもありません。カラーバリエーションが豊富なため、黒や灰色、ピンクなど、モダンな内装に合わせたデザイン性の高い和室を作れるのも魅力です。ただし、ウレタン等の吸湿性が無い素材を芯材に使っている場合、伝統的な畳が持つ「調湿機能」は期待できません。香りによるリラックス効果も望めない点は理解しておく必要があります。
【希少な空間】縁側がもたらす伝統的な癒し
「和の空間」と聞いて「縁側」を思い浮かべる方も多いでしょう。しかし、現代の戸建賃貸市場において、しっかりとした縁側(特に濡れ縁ではない「広縁」)を持つ物件は、希少価値のある「古民家」や、こだわって建てられた築年数の古い住宅に限られるのが現実です。
なぜ縁側のある賃貸は少ないのか?
縁側が少なくなった理由は、現代の住宅建築が限られた敷地面積の中で、できるだけ広い「室内」スペースを確保することを優先してきたためです。縁側のような「半屋外」の空間は、建築コストや効率性の観点からは贅沢なスペースと見なされがちです。また、気密性や断熱性を高める設計が主流となり、内と外を曖昧につなぐ縁側は減少しました。そのため、縁側を求めることは、自動的に「伝統的な工法で作られた、築年数の経った物件」を選ぶこととほぼ同義になると言えます。
縁側がもたらす「曖昧な空間」の心地よさ
縁側の魅力は、その「曖昧さ」にあります。室内でもあり、屋外でもあるこの空間は、季節の風や柔らかな陽当たり、雨の音をダイレクトに感じさせてくれます。リビングのソファとは全く違う、五感が開かれるような心地よさです。多くの場合、縁側は和室と庭の間に位置し、障子やガラス戸を開け放てば、和室から縁側、そして庭へと視線と空間が一体的につながる、圧倒的な開放感を生み出します。これこそが、伝統的な日本家屋だけが持つ癒しの本質かもしれません。
【共通の重要点】陽当たりが「和の空間」にもたらす価値
あなたが「伝統的な和室」を選ぼうと、「現代風の和室」を選ぼうと、共通して絶対に妥協すべきでないのが「陽当たり」です。特に和室は、その恩恵を強く受ける空間です。
陽当たりが「心」と「畳」にもたらすメリット
まず、陽当たりの良い家は、体内時計をリセットし、精神的な安定をもたらす「幸せホルモン」の分泌を促すなど、心身の健康に直結します。それに加え、和室にとっては「畳の健康」にも不可欠です。伝統的ない草の畳は、適度な日光(紫外線)によって乾燥し、ダニやカビの発生を抑制できます。陽当たりと風通しは、畳を長持ちさせるための重要な要素なのです。
あなたはどっち派?「伝統」と「現代」
ここまで、「畳」と「縁側」の視点から、伝統的な和室と現代風の和室の違いを見てきました。戸建賃貸を探す上で、あなたはどちらのタイプを選びますか?それぞれのメリットと注意点を整理します。
「伝統・古民家風」を選ぶメリットと注意点
「伝統的な和室」や「縁側」を求める場合、古民家風が選択肢となります。 メリットは、い草の香り、優れた調湿機能、縁側がもたらす開放感など、五感に訴える本物の「癒し」を体験できることです。現代の住宅では味わえない、ゆったりとした時間の流れを感じられるでしょう。
一方、注意点としては、築年数が経っていることによる「断熱性・気密性の低さ」が挙げられます。冬場は隙間風などで寒い可能性があり、冷暖房効率は現代の住宅に劣る場合があります。また、伝統的な畳や障子はデリケートなため、現代風の建材に比べて丁寧な扱いや掃除が必要になる側面もあります。
「現代風和室」を選ぶメリットと注意点
「現代風の和室」を持つ戸建賃貸は、主に築浅やリノベーション物件で見つかります。 メリットは、何と言っても「利便性」と「デザイン性」です。畳の掃除が楽で、ダニやカビの心配が少なく、小さな子供がいても安心です。リビング横にモダンな「畳コーナー」として配置されていることも多く、フローリングの生活とも自然に調和します。
一方、注意点としては、ウレタン素材などの畳には「調湿機能」や「香り」は期待できないことです。あくまで「畳の見た目をした便利なスペース」と捉えるのが現実的です。また、縁側のような伝統的な情緒ある空間は、まず備わっていないと考えた方が良いでしょう。
まとめ:あなたに最適な「和の戸建賃貸」を見つけるために
「和室」を選ぶ際は、それが「伝統的な畳(い草・わら床)」なのか、調湿機能のない「現代的な畳(樹脂・ウレタン)」なのか、その機能性の違いを理解することが不可欠です。
また、「縁側」を求めることは、多くの場合「希少な古民家風物件」を選ぶことと直結します。どちらのタイプにもメリットと注意点があり、ご自身のライフスタイル(手入れの手間を許容できるか、機能性を優先するか)に合わせて選ぶことが重要です。そして、どちらを選ぶにせよ「陽当たり」は妥協できないポイントです。
戸建賃貸なら、こうした多様な「和の空間」から、自分に最適な一軒を見つけ出せる可能性があります。ぜひ、ご自身の理想の暮らしをイメージしながら、物件探しを楽しんでください。
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