戸建賃貸という魅力的な選択肢を前に、「リビングは1階と2階、どちらが自分たちの暮らしに合っているのだろう?」と悩んでいませんか。「なんとなく1階が暮らしやすそう」「でも2階リビングのおしゃれな雰囲気にも憧れる…」こうした漠然としたイメージだけで物件を決めてしまうと、後から「こんなはずではなかった」と後悔につながることも少なくありません。
リビングの階数は、単なる間取りの違いではなく、日々の陽当たり、プライバシーの保ちやすさ、そして毎日の家事動線にまで深く関わる、暮らしの質を決定づける重要な要素です。将来のマイホーム購入を視野に入れている方にとっても、賃貸で異なる間取りを体験することは、失敗しない家づりのための貴重なデータ収集となります。もちろん、賃貸での暮らしを最大限に楽しみたい方にとっては、ライフスタイルとの相性が何よりも大切です。
そこで今回は、「1階リビング」と「2階リビング」を多角的に比較し、あなたの家族構成やライフスタイルに最適な選択ができるよう、具体的な判断基準を解説していきます。
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1.【1階リビング】地面とつながる暮らしのメリット・デメリット
まずは、戸建のスタンダードとも言える1階リビングです。その安定感のある間取りは多くの人に支持されていますが、メリットを最大限に享受し、デメリットを理解して対策することが快適な暮らしのカギとなります。
1-1. メリット:庭との一体感が生む豊かな時間と動線の良さ
1階リビングの最大の魅力は、やはり庭やウッドデッキとの物理的・心理的な近さです。掃き出し窓を開ければ、リビングの延長線上として庭を自由に活用できます。例えば、週末には友人を招いてバーベキューを楽しんだり、家庭菜園で育てた野菜をすぐにキッチンへ運んで調理したり。お子様がいるご家庭なら、リビングから目の届く範囲で安全に遊ばせることができ、ビニールプールを広げるのも容易です。
生活動線の観点からも、1階リビングは非常に合理的です。玄関からリビング、キッチン、水回りまでがワンフロアで完結するため、重い買い物袋を抱えて階段を上がる必要がありません。また、家族が帰宅した際に必ずリビングを通るような間取りであれば、自然と顔を合わせる機会が増え、コミュニケーションが活性化する効果も期待できます。まさに、生活の「ハブ」として機能する、家族の繋がりを育む空間と言えるでしょう。
1-2. デメリット:陽当たり・プライバシー・防犯面での懸念
一方で、地面に近いがゆえのデメリットも存在します。最も懸念されるのが陽当たりとプライバシーの確保です。特に都市部の住宅密集地では、隣家の影になり日中でも照明が必要になるケースや、道路からの視線が気になってカーテンを開けられない、といった状況に陥りがちです。内見時には、時間帯を変えて複数回訪れ、光の入り方や外からの視線を体感することをおすすめします。
【内見時のチェックポイント】
陽当たり対策: 内見時には、スマートフォンのコンパスアプリでリビングの窓がどちらを向いているか確認しましょう。一般的に南向きが最も陽当たりが良いとされますが、東向きは午前中、西向きは午後に光が入ります。ご自身の生活リズムと照らし合わせ、最も家にいる時間帯に光が入る方角を選ぶことが重要です。
プライバシー対策: 道路からの視線は、植栽や目隠しフェンスでどの程度カバーされているかを確認します。実際にソファに座る位置から窓の外を見て、通行人と目が合わないかチェックしましょう。状況によっては、入居後に自分で設置可能な窓用の「目隠しフィルム」などを活用するのも一つの手です。
さらに、防犯面での注意も必要です。1階の大きな窓は、空き巣などの侵入経路になりやすい場所でもあります。シャッターや防犯ガラス、センサーライトといった設備が整っているかを確認しましょう。また、地面に近いことで湿気がたまりやすかったり、庭の草木から虫が侵入しやすかったりといった点も、念頭に置いておくべきポイントです。
2.【2階リビング】空に近い暮らしのメリット・デメリット
次に、都市型住宅を中心に採用例が増えている2階リビングを見ていきましょう。従来の発想を転換したこの間取りは、多くの課題を解決する可能性を秘めていますが、特有の注意点も存在します。
2-1. メリット:圧倒的な開放感とプライバシー、そして構造上の強み
2階リビングが選ばれる最大の理由は、その優れた採光性とプライバシー性能にあります。周辺の建物の影響を受けにくいため、明るい自然光が部屋の隅々まで行き渡り、一日を通して心地よい空間を保ちます。道路や隣家からの視線を気にする必要がほとんどないため、カーテンを全開にして、空や遠くの景色を眺めながら過ごすことができます。この「眺望」は、暮らしに豊かさと癒やしをもたらす代えがたい価値となるでしょう。
さらに、防災という観点から見ると、特に耐震性においてメリットが生まれる場合があります。一般的に、リビングは大きな窓のある広い空間にするため壁量が少なくなりがちです。2階にこの開放的なリビングを設けることで、生活の拠点ではない1階部分に寝室などの個室を多く配置できます。これにより、建物の構造を支える重要な耐力壁を1階に効率良く配置でき、建物全体の耐震強度を高める設計がしやすくなるのです。
一方で、水害リスクについては慎重な判断が求められます。リビングやキッチンが2階にあれば、床上浸水から主要な家財を守れる可能性はあります。しかし、就寝中などに1階の寝室が浸水する事態は命に直結する重大なリスクです。そのため、2階リビングの物件を検討する際は、その地域のハザードマップで浸水リスクについてしっかり確認するのが大前提となります。
2-2. デメリット:階段がもたらす家事動線とコミュニケーションの課題
2階リビングの生活は、良くも悪くも「階段」が中心となります。これが、家事動線における最大の課題です。例えば、「1階の洗濯機で洗い→重い洗濯カゴを持って2階のバルコニーへ→乾いたら取り込んで→1階と2階の各部屋のクローゼットへ収納」という一連の作業は、毎日のこととなると相当な負担です。コミュニケーションの面でも、子どもが帰宅してもリビングにいる親と顔を合わせることなく1階の自室に入ってしまう、といった可能性も考えられます。
【内見時のチェックポイント & 解決策】
荷物搬入の課題: 冷蔵庫やソファなど、大型の家具・家電の搬入経路も事前に確認が必要です。特に階段の幅や踊り場の形状によっては、搬入ができず、クレーンでの吊り上げ作業が必要になることも。その場合、数万円の追加費用が発生する可能性も考慮しておきましょう。
解決策としての『ハイブリッド型』間取り: こうした2階リビングの課題を解決する間取りとして、最近では『2階にリビング・キッチン・浴室・洗面所・バルコニーを集中させる』ハイブリッド型のプランも増えています。この場合、洗濯から物干し、収納までが2階でスムーズに完結するため、重い洗濯物を持って階段を往復する必要がありません。1階は寝室や子ども部屋などプライベートな空間と割り切ることで、1階の静かさと2階の開放感、それぞれのメリットを両立させることが可能です。内見の際には、リビングの階数だけでなく、水回りがどこに配置されているかもしっかり確認しましょう。
3.【ライフスタイル別】徹底シミュレーション!あなたに最適なのはどっち?
それでは、具体的な家族構成や働き方を想定し、どちらのリビングがより適しているかをシミュレーションしてみましょう。ご自身の家族の顔を思い浮かべながら読み進めてみてください。
3-1. 子育て真っ盛りのファミリーの場合
小さなお子様がいるご家庭では、安全面と家事のしやすさが最優先事項になります。その点では、1階リビングに軍配が上がります。子どもが庭で遊ぶ姿をキッチンから見守れたり、階下への足音を気にせずのびのびと走り回れたりする環境は、何にも代えがたいメリットです。また、ベビーカーの出し入れや、泥だらけで帰ってきた子どもをすぐにお風呂場へ直行させられるなど、ワンフロアで生活が完結する動線は、多忙な子育て世帯の負担を大きく軽減してくれます。
3-2. 夫婦二人暮らし(共働き・DINKs)の場合
お互いの時間を大切にし、家で過ごす時間の質を重視したい共働き夫婦やDINKsのご家庭には、2階リビングがおすすめです。日中は仕事で家を空けることが多いため、陽当たりの良さを最大限に享受できるのは、在宅時間が長くなる休日かもしれません。しかし、それ以上に「家にいる時間は、誰にも邪魔されずリラックスしたい」というニーズに応えてくれるプライバシーの高さが魅力です。夜景を楽しみながらお酒を飲んだり、開放的な空間で趣味に没頭したりと、まさに「大人のための隠れ家」のような暮らしを実現できるでしょう。
3-3. 在宅ワーカー・フリーランスの場合
自宅で仕事をする時間が長い方にとっては、日中の快適性が生産性を大きく左右します。その点では、陽当たりが良く、外からの視線や騒音が気にならない2階リビングは、集中できるワークスペースを確保しやすいと言えます。リビングの一角にデスクを置いても、プライベートな空間として落ち着いて作業に打ち込めるでしょう。頻繁な宅配便の受け取りが課題となりがちですが、これは玄関先に鍵付きの「宅配ボックス」を設置することでスムーズに対応可能です。
3-4. 将来を見据えた暮らしを考える場合
今は元気でも、10年後、20年後を考えた時に暮らしやすいのはどちらでしょうか。この視点では、やはり階段の上り下りが少ない1階リビングが有利です。年齢を重ねると、重い荷物を持って階段を移動するのは大きな負担になります。将来的に親との同居を考える場合も、生活空間が1階で完結している方が、お互いにとって暮らしやすいでしょう。「終の棲家」も視野に入れた家探しや、将来の家づくりの参考にするのであれば、ユニバーサルデザインの観点からも1階リビングの合理性は非常に高いと言えます。
4. まとめ:『賃貸だからこそ』できる、理想の暮らしの見つけ方
1階と2階、どちらのリビングが良いかという問いに唯一の正解はありません。しかし、ご自身のライフスタイルと「何を最も大切にしたいか」を明確にすることで、最適な選択肢が見えてきます。
● 1階リビングがおすすめな方
庭とのつながり、シンプルな家事動線、子どもの安全性を重視する子育て世帯や、将来の暮らしやすさを考える方。地面に近い安心感のある暮らしが実現できます。
● 2階リビングがおすすめな方
陽当たり・開放感・プライバシーを最優先し、都会的な暮らしを求めるご夫婦や在宅ワーカーの方。外部の視線を気にしない、明るく快適な空間が手に入ります。
● ハイブリッド型(2階水回り集中型)がおすすめな方
2階リビングの開放感はそのままに、洗濯などの家事動線を2階で完結させたい合理的な方。両方のメリットを享受できる「いいとこ取り」の選択肢です。
戸建賃貸は、この理想の暮らしを『お試し』できる絶好の機会です。将来のマイホーム購入を考えている方も、賃貸暮らしを謳歌したい方も、この経験は必ずあなたの住まい選びの確かな指針となるでしょう。ぜひ『今の自分たちにとって、最も心地よい時間はどこで過ごす時間か』を想像してみてください。
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